耳洗浄は絶対に必要?メリットとデメリットを知りたい!

この質問に答えてくださるのは、ペット手帳Q&Aコーナーでもおなじみ、獣医皮膚科・耳科を専門とした獣医師チーム、Vet Derm Tokyoの伊從(いより)先生です。
耳洗浄に対する考え方
正常な耳には自浄作用があるため、基本的に耳垢は自然に排出されます。
したがって、トラブルのない耳に対しての積極的な洗浄は必要ありません。
耳垢が外耳にあることは正常で、まったく耳道に耳垢がないことはまれです。
正常な耳垢を無理に取ろうとすると、逆に外耳炎の原因となってしまうことがあるので注意しましょう。
耳洗浄が必要なケース
基本的には行わなくてよい耳洗浄。
しかし次のようなケースは洗浄する必要があります。
1. 外耳に異物や寄生虫が存在
2. アトピー性皮膚炎や食物アレルギーにともなって炎症が頻発
3. 脂漏症にともなった外耳の過剰な皮脂汚れ
4. コッカー・スパニエルに頻発する耳垢腺の過形成
5. 短頭種などにおける先天的な耳道の狭窄にともなう耳垢の排出不良
耳洗浄の落とし穴
耳洗浄にはメリットとデメリットがあります。
今回は「耳洗浄の落とし穴」と称して、3つのポイントを紹介します。
■落とし穴①
耳の汚れの除去に綿棒を積極的に使用すると、垂直耳道と水平耳道の移行部に耳垢を押し込んでしまう可能性があります。
綿棒は耳孔から耳介の部分に限定して使用しましょう。
■落とし穴②
耳を引っ張りすぎたり、強くマッサージしたりすると鼓膜を損傷する可能性があります。
そのため、自宅での積極的な耳洗浄はあまりおすすめしません。
■落とし穴③
鼓膜が損傷している場合は、耳道洗浄液が中耳へと達してしまいます。
洗浄液によっては耳の神経に毒性を生じる可能性があるので、耳道洗浄液の選択は獣医師に相談しましょう。
耳の異常はまずかかりつけ医へ!
一般的に耳洗浄の必要性は、耳鏡検査や耳道内視鏡検査によって、耳道および皮膚の評価を行って判断しています。
耳の異常を発見したときは、「〇〇だから耳洗浄」と安易に考えず、まずは動物病院を受診してくださいね。